「住宅ローン」と「不動産投資ローン」の7つの違い【詳細解説】

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不動産を購入する際にまずローンを利用する人は少なくないはずです。しかし、ローンに大別して「住宅ローン」と「不動産投資ローン」があり、その違いについて解説していきたいと思います。

結論から言いますと:

■(居住用物件)自分で住む時は「住宅ローン」
■(投資用物件)不動産投資したい時は「不動産投資ローン」

になります。それは当たり前です。

「住宅ローン」と「不動産投資ローン」の7つの違い【詳細解説】

❶ 「融資限度額」の違い:

「住宅ローン」の限度額(上限):年収の4〜6倍
住宅ローンは個人で住む家を購入するために借り入れるローンなので、銀行は購入者の年収をベースに貸す限度額を決めています。一般的に年収の4〜6倍と言われています。もちろん物件が好条件の場合もっと高い金額を借入することもあります。
「不動産投資ローン」の限度額(上限):年収の7~10倍。
不動産投資ローンはハッキリといった借入できる限度額はありません。一般的にサラリーマンの場合7-10倍くらいと言われていますが、勤務会社の状況や借主の資産状況によって変わります。それと家賃収入も返済原資になるため、その物件の立地や築年数、建築構造、交通の利便性などで投資物件の収益性を判断し、いい場合は15〜20倍借入られることもあります。

限度額

❷ 「金利」の違い

「住宅ローン」の金利:低い。約0.289%〜2.67%(2022年12月時点)
ローンの金利は固定金利と変動金利があります。金利は世界情勢や国内の景気、借入年数など要素によって変動するものなので、現在2022年12月時点で見てみると
【変動金利】:名前の通り、金利が時期によって変動するものなので、借入当初は低いかもしれませんが、世界情勢などの要素によって振れ幅は大きい可能性がありますが、通常一般の金利より低くなっていることが特徴です。銀行によっては違いますが、0.289%くらいから設定されてる銀行もあります。
【固定金利】:こちらも名前の通り、金利は固定されていますので、他の要素の影響によって変動しないことから、通常は高く設定されているのが普通です。高いところは例えば*35年間全期間固定の場合、2.67%に上ることもあります。
*金利は変動金利と固定金利で組み合わせることも可能です。例ば、最初の10年は固定で、残りは変動ということもできます。
「不動産投資ローン」の金利:高い。約0.5%〜8.9%(2022年12月時点)
不動産投資ローンにも固定金利と変動金利がありますが、住宅ローンと全く別物と考えていいでしょう。金融機関によって違いますが、主に都市銀行、地方銀行、日本政策金融公庫、信用金庫・信用組合などがあります。団信の加入か否かや店頭申込かWEB申込かによって金利も違ってきます。現在の時点では低いところは約変動金利の場合0.5%という水準から8.9%のところもあります。

金利

❸ 「目的」の違い:

「住宅ローン」の目的:自分で住むため
住宅ローンの定義は「自ら居住するための住宅の新築、購入、建て替え等を目的としたローン」。自ら居住するため、原則として利用できるのは一人一つです。2軒目の住宅を購入する際に住宅ローンを組むためには、1軒目の家を売却するか、残りのローンを完済してからでなければ利用できません。
「不動産投資ローン」の目的:他人に貸し、利益を得るため
不動産投資ローンとは、「投資目的」の不動産購入する際に利用可能なローンのことです。不動産投資ローンはマンション一室やアパート一棟をはじめ、戸建てや土地の購入まで幅広く利用できるローンです。「アパートローンやマンションローン」とも呼ばれています。不動産投資ローンを申込む際は、各金融機関によって金利、借入可能額、借入期間、審査回答期間などが異なりますので、しっかりと比較してから選びましょう。

❹ 「審査内容」の違い:

「住宅ローン」の審査内容:個人属性ベース
住宅ローンの審査は主に借入者の勤務年数、家族構成、信用状況や年収などの個人属性で審査をします。例を挙げてみれば下記のような審査条件になります。

  • 申込時年齢が20歳以上65歳以下、完済時年齢が80歳未満
  • 団体信用生命保険へ加入できること(健康状態が問われる)
  • 勤続年数が1年〜2年以上、前年度税込み年収が300万円以上の正社員もしくは契約社員
  • 自営業の場合は業歴2年以上で2年平均500万円以上の所得であること
  • 日本国籍、もしくは永住許可を得ている人、永住許可がない場合は配偶者が日本国籍、または永住許可を得ており、かつ配偶者が連帯保証人となること
  • 金融機関の営業エリア内にあるかも審査基準の一つになる場合があります。
「不動産投資ローン」の審査内容:物件属性ベース
不動産投資ローンは投資が目的なので、借入者の個人属性はもちろんのこと、物件の属性もかなり重要な審査要素になります。不動産投資ローンは主に下記の基準で審査されます。

  • 申込者の資産状況や年収、勤務先の状況
  • 不動産投資の事業計画
  • 申込物件の収益性
  • 申込物件の資産価値

審査

❺ 「返済原資」の違い:

「住宅ローン」の返済原資:給与
住宅ローンは投資ではないため、返済に充てられる原資と言えば借入者の仕事から得た「給料」になります。仕事がなくなった時に返済ができなくなるため、収入の確保が一番重要なことになります。
「不動産投資ローン」の返済原資:家賃収入
不動産投資ローンは「投資」なので、返済の原資は「家賃収入」になるのが一般的ですが、空室のリスクを考えると、本業がある場合、その収入も返済原資になります。

❻ 「年齢制限」の違い:

「住宅ローン」の年齢制限:あり
住宅ローンは自ら居住する物件を購入するためのローンなので、完済の年齢が高すぎると銀行にとってリスクがあるので、一般的に「申込時年齢が20歳以上65歳以下、完済時年齢が80歳未満」という制限がかけられていると思います。団体信用生命保険(略称団信)を加入するという条件でリスクを回避することもありますが、その場合借入者の健康状況も判断要素の一つに入れなければならなくなります。
「不動産投資ローン」の年齢制限:なし
不動産投資ローンは「事業性融資」であるため、賃貸経営の事業計画に妥当性があると判断され、かつ年齢が20歳を超えていれば、融資は可能ということです。ただし、団体信用生命保険に加入する場合、一定の年齢制限があることに注意が必要です。

❼ 「返済期間」の違い:

「住宅ローン」の返済期間:
住宅ローンは一般的に最長35年となっているケースが多いですが、金融機関によって最長50年という返済期間もあります。それから、ローン完済時の年齢は79歳が多いことから、借入れる時の年齢によって35年より短い場合もありますので注意が必要です。
「不動産投資ローン」の返済期間:建物の法定耐用年数が基準
不動産投資ローンは一般的に物件の「法定耐用年数」を基準に返済期間を設けていますが、借入者の属性を判断して、耐用年数より短るなる可能性もあり、中古物件を購入する時に注意が必要になります。ただし、金融機関によって耐用年数を長く考えるところもありますので、いろんな金融機関に当たってみるのも一つの方法かもしれません。なお、法定耐用年数というのは税法上で決められている年数のことで、この年数を超えると建物が使えなくなるということではありません。法定耐用年数は建物の構造別ごとに決められています。

  • 木造・合成樹脂造:22年
  • 木骨モルタル造:20年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:47年
  • 鉄筋コンクリート造:47年
  • れんが造・石造・ブロック造:38年

参考:国税庁の主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)

返済期間

まとめ

「住宅ローン」と「不動産投資ローン」は二つとも不動産物件を購入する時に利用するローンですが、上記の7つの違いを読んで頂いたら少しは把握できていると思いますが、一番重要なのは共用できないというところです。自宅を購入する時は「住宅ローン」、投資物件を購入する時は「不動産投資ローン」になります。条件には違うところがありますが、混同してしまいますと金融業者との契約違反になってしまい、違約金が発生したり、残額の完済を求められたりすることがありますので、ご注意が必要です。

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